2025年5月17日(土)15:00~16:00
於:ルネ小平レセプションホール
寺川 綾 講師:プロフィール
大阪府大阪市ご出身で、3歳から水泳を始め、中学生時代より頭角を現されました。
高校2年生の時には世界水泳選手権に出場され、2002年にはパンパシフィック選手権で金メダルを獲得。2004年アテネオリンピックでは200m背泳ぎで入賞し、数々の国際大会でご活躍されました。さらに、ロンドンオリンピックでは100m背泳ぎと400mメドレーリレーでメダリストとなり、日本を代表するスイマーとして輝かしい功績を残されています。
大学卒業後はミズノ株式会社のスイムチームコーチとして指導にあたるとともに、スポーツキャスターとしても活躍され、スポーツ振興に尽力していらっしゃいます。
講演テーマ:水泳から学んだ挑戦することの大切さ
小平市水泳協会様の創立50周年という記念すべき節目に、このような貴重な機会をいただき、心より感謝申し上げます。本日は、「挑戦することの大切さ」をテーマにお話をさせていただきます。皆様とこの場を共有できることを大変光栄に思います。
私は競技生活の中であっても、引退した現在も長年にわたり、多くの方々に支えられながら、水泳を続けてこられたことに深く感謝しております。皆様の応援があったからこそ、幾度の困難を乗り越え、目標へ向かって挑戦し続けることができました。水泳人生は決して平坦な道のりではありませんでしたが、最後まで自分の決めた道を貫いたことで、悔いなく卒業を迎えられました。
もともと体が弱く、体力をつけるために3歳から水泳を始めました。負けず嫌いな性格が相まって、次第に競技にのめり込み、16歳で日本代表に選ばれました。しかし、順調に見える競技人生の裏には、挫折と挑戦の連続がありました。
2008年の北京オリンピック代表選考でまさかの落選を経験し、「長い間お疲れ様でした」という言葉をかけられたことで、競技人生の終わりを暗示されました。しかし、私は「自分の人生を人に決められたくない」という強い思いを胸に、新たな挑戦へと踏み出す決意をしました。北島康介選手を育てた平井伯昌(ひらいのりまさ)コーチのもとへ弟子入りを直訴し、何度断られても諦めずに想いを伝え続けました。そしてついに弟子入りが認められ、平井チームでの新たな競技生活がスタートしました。これまでの練習は何だったのかと思うほど厳しいトレーニングに直面し、一から鍛え直す日々が続きました。しかし、この挑戦が私を大きく成長させ、わずか4か月後には日本選手権で7年ぶりに日本一の座を奪還することができました。「去年は悔しくて苦しい思いをしましたが、必ずどこかでリベンジしたいと思っていました。それがこの大会で実現できて、本当に嬉しいです。」この言葉には、長年の葛藤と努力が詰まっています。
2012年、ロンドンオリンピックのシーズンになると、私はオリンピックで最高の泳ぎを見せるために、極限まで自分を追い込みました。泳ぎが速くなるにつれ、気持ちも変化していきました。「もちろん金メダルを目指して頑張りますし、自己ベストを大きく上回れればいいなと思っています。」これまでの経験から心の在り方が変わり、本当の意味で強い選手へと成長していきました。
そして迎えた2012年7月30日、ロンドンオリンピック・女子100m背泳ぎ決勝。悲願のメダルを目指し、スタートを切りました。結果は銅メダル獲得。「目指していた一番ではないですが、代表に入ってから11年。27歳でようやくオリンピックのメダルを手にしました。」これは、私が自分の信念を貫いた証でした。
競技生活の終盤となる2013年、バルセロナで開催された世界水泳では50mと100mの背泳ぎで銅メダルを獲得。さらにメドレーリレーの第1泳者として、日本記録を樹立しました。28歳で自己ベストを更新し、競技人生の最後を最高の形で締めくくることができました。
水泳人生は決して楽なものではありませんでした。しかし、諦めずに挑戦し続けたからこそ、笑顔で卒業を迎えることができました。「諦めるのは簡単。でも続けることの方がどれだけ大変か。」私はこの思いを胸にここまで歩んできました。そして、皆様のおかげで、本当に幸せな競技生活を送ることができたと心から思っています。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
質疑応答
1.幼い頃から「無理だ」と言われることが多かったが、挑戦することでオリンピックのメダルを獲得する夢を叶え
た。失敗を恐れず挑戦することが重要だと強調。
2.背泳ぎの技術について、「浅いところを力強くかく」「背中の筋肉を使う」ことを推奨。自身のメダル獲得時の両親の驚きや喜びについても語り、挑戦を通じた学びの重要性を伝えた。
3.留学を控える学生へのアドバイスとして、目標を紙に書いて見える場所に置くことを提案。モチベーションが下がった時は、初心を思い出し、選んだ道を貫くことが大切だと語った。
講演の締めくくりとして、スポーツ界全体を活性化させるために今後も尽力する意向を示し、聴衆への感謝を述べました。
記念撮影
最後に、寺川綾と記念写真を撮影し講演会を終了しました。
創立50周年記念事業に、運営マニュアル作成、50周年記念式典・講演会参加者まとめ、ルネ小平との調整等多岐にわたりご尽力いただきました小島裕一様から感想を頂いていますのでご紹介いたのします。
挑戦することの大切さ
私は72歳ですが、今も週5~6日水泳を続け、成人向けに指導もしています。水泳は健康維持だけでなく、心の充実にもつながる大切な時間です。
寺川綾さんの水泳人生を知り、彼女の強い意志と努力に深く感動しました。「自分の人生を人に決められたくない」という言葉は特に心に響きます。何度も挫折を経験しながらも夢を追い続けた姿は、私の励みになりました。
挑戦し続けることの大切さを改めて感じます。年齢に関係なく、自分の可能性を信じて努力を続けることが、充実した人生につながるのではないでしょうか。私もこれからも水泳を続け、さらに成長していきたいと思います。
小島裕一
参加者の皆さま、「とても内容が素晴らしかった」、「感動した」等々のお話をいただき、素晴らしい講演会となりました。
報告者:創立50周年記念事業
若林・小島
下記の「詳しくはこちら」をクリックして講演会の写真をご覧ください。
小平市水泳協会50周年記念「寺川綾」講演会が開催されました。
お知らせ 2025-05-30